丸木橋まるきばし)” の例文
そこで天皇てんのう大勢おほぜい家來けらいたちをおつれになりそのながい/\丸木橋まるきばしうへをおわたりになつたといふことが、日本書紀につぽんしよきといふほんてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
仕方しかたがない矢張やつぱわたし丸木橋まるきばしをばわたらずはなるまい、とゝさんもふみかへしておちてお仕舞しまいなされ、祖父おぢいさんもおなことであつたといふ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
牛丸少年の方は、途中とちゅうで手間どっていた。というのは、東道では、途中で丸木橋まるきばしが落ちていて、そのため彼は大まわりしなくてはならなかった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「あゝ、不可いけない、其處そこを。」とげてめるもなく、足許あしもとに、パツとえて、わツとうつつた途端とたんに、丸木橋まるきばしはぢゆうとみづちて、黄色きいろけむりが——もう湧立わきたつ。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「こんな所から登るのか。少し妙だぜ。こんな丸木橋まるきばしを渡るのは妙だぜ」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
日暮ひぐまえに、一つの丸木橋まるきばしいだしましたので、彼女かのじょは、よろこんでそのはしわたりますと、ちていたとみえて、はしなかからぽっきり二つにれて、むすめみずなかにおぼれてしまいました。
海ぼたる (新字新仮名) / 小川未明(著)
丸木橋まるきばしの上と下とを真白きもの煌々くわうくわうとして通りけるかも
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
細谷川ほそだにかは丸木橋まるきばし
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
また一説いつせつには、その丸木橋まるきばしいま熊本くまもとあたりから、有明ありあけうみわたつて肥前國ひぜんのくに温泉岳うんぜんだけまでかゝつてゐたともひます。おそろしいおほきなではありませんか。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
うまし、かるたくわいいそわかむねは、駒下駄こまげた撒水まきみづすべる。こひうたおもふにつけ、夕暮ゆふぐれ線路せんろさへ丸木橋まるきばし心地こゝちやすらむ。まつらす電車でんしやかぜに、春着はるぎそで引合ひきあはごころ風情ふぜいなり。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やんや/\とよろこばれるなかから、我戀わがこひ細谷川ほそだにがは丸木橋まるきばしわたるにやこわわたらねばとうたひかけしが、なにをかおもしたやうにあゝわたし一寸ちよツと無禮しつれいをします、御免ごめんなさいよとて三味線さみせんいてつに
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ここは谷川たにがは丸木橋まるきばし
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
たゞ仔細しさいのない小川をがはであつた。燒杭やけぐひたふしたやうな、黒焦くろこげ丸木橋まるきばしわたしてある。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はじめのうち、……うをびくなか途中とちゆうえた。荻尾花道をぎをばなみち下路したみち茄子畠なすびばたけあぜ籔畳やぶだゝみ丸木橋まるきばし、……じやうぬますなどつて、老爺ぢゞい小家こやかへ途中とちゆうには、あなもあり、ほこらもあり、つかもある。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)