黙劇パントマイム)” の例文
勿論、双眼鏡で見るんだから、声など聞えはしないけれど、此の黙劇パントマイムからそのしぐさで私が推察したんですが、まあ、そんな訳なんです。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
『はッはッはッ。君は黙劇パントマイム専門かと思っていたら、いや中々どうして! 素晴らしく深刻な科白せりふを聞かせますねえ。』
象牙の牌 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
ことに、貴女の場合は、それに黙劇パントマイムじみた心理作用が伴ったので、それに力を得て、なおいっそう深く、貴女の心像をえぐり抜くことが出来たのでした。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
彼は、終ひまで黙劇パントマイムの見物人で居たかつたのだが、むかむかとする強い不快が込みあげて来て
裸虫抄 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
ハーリクィンのように………… ハーリクィンは黙劇パントマイムに出て来る道化役の一人で、常に派手な雑色の衣裳を著ているので、クランチャーが補綴だらけの蒲団をかぶっているのを
ふたりは黙劇パントマイムの人物のやうに、眼を視合せたり、上眼をつかつたりするだけだつた。
岬の春霞 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「なるほど支倉はぜくら君、君と云う法律の化物には、韻文の必要はないだろう。然し、さっきの告白悲劇はどうするんだい。あの悲痛極まる黙劇パントマイムの中で、幡江が父に、何を訴えたかと思うね」
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)