岬の春霞みさきのはるがずみ
いつまでつゞくか、仮寝の宿——わたしは、そのとき横須賀に置いた家族から離れて湘南電車で二駅離れた海ふちの宿にゐた。東京からあそびに来てゐる若い友達のRと、文学と人生のはなしに耽つてゐると、飛行機の爆音が、屋根裏にとゞろいて、耳を聾し、はなし …