黒衣こくえ)” の例文
ここによきはかりごとこそあれ、頃日このころ金眸きんぼう大王が御内みうちつかへて、新参なれどもまめだちて働けば、大王の寵愛おおぼえ浅からぬ、彼の黒衣こくえこそよかんめれ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
袈裟、法衣ほうえなどを、自分の手で畳んで、自分の手にのせた範宴は、再びそこへ来て性善坊へそれを渡した。見ればもう、薄ら寒い黒衣こくえけた師であった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黒衣こくえを、見よ、まとひてはそうのつとめ。
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
時にわれ、朦朧もうろう黒衣こくえして
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
黒衣こくえ棲居すみかを立出でしが、かれが言葉を虚誕いつわりなりとは、月にきらめく路傍みちのべの、露ほども暁得さとらねば、ただ嬉しさに堪えがたく
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
時になほ、朦朧もうろう黒衣こくえして
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)