黒暗々こくあんあん)” の例文
少年たちの希望はただこれである、荒れに荒れくるう黒暗々こくあんあんの東のほうに、やがて一えい微明びめいがただよいだした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
時刻はすでに十二時を過ぎて、よいから降り出した雨は、ようやく本降りとなり、昼間はあれほど眺望ちょうぼうの美をほこった塔のてっぺんも、いまや黒暗々こくあんあんたるやみにつつまれている。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
眼をひらくと、まだ悪夢のつづきのように、あたりは黒暗々こくあんあんやみであった。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
二人はただ黒暗々こくあんあんの闇を歩いて行くだけです。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ぼうぼうたる南太平洋の大海原おおうなばらに、もう月もなければ星もない。たけりくるうあらしにもまれて黒暗々こくあんあんたる波濤はとうのなかを、さながらの葉のごとくはしりゆく小船がある。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
ほんとうにめくらになったのと同じ、黒暗々こくあんあんの闇なのです。
新宝島 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
その向う側は例によって、黒暗々こくあんあんの闇である。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
見れども見えぬ、黒暗々こくあんあんの地底の穴蔵だ。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)