麻薬まやく)” の例文
女の膝から博士の膝へ、或る麻薬まやくの注射がほどこされたんでしょうね。博士は、そういえばちくりとしたようだといっています。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
見ろ、麻薬まやく中毒者という一匹の虫。よもやこうなるとは思わなかったろうね。地獄の女性より。
虚構の春 (新字新仮名) / 太宰治(著)
軽く入れておいたから、今頃はもう麻薬まやくめて、これへ追っかけて来る途中だろうぜ
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猛烈な胃痙攣いけいれんを起こした患者が、モルヒネの注射を受けて、間歇的かんけつてきに起こる痛みのために無意識に顔をしかめながら、麻薬まやくの恐ろしい力の下に、ただ昏々こんこんと奇怪な仮睡に陥り込むように
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「とんでもねえ、そんな麻薬まやくの入っているやつは、いくら俺でもまっぴらご免だ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)