麗姿れいし)” の例文
被衣かずきを脱ぐ二人の上﨟じょうろうめいたしなやかな手からあられがこぼれた。——住蓮も安楽も、そのにおわしい麗姿れいしに眼をそむけた。見ているには、あまりに美し過ぎるからである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして紺碧こんぺきの空へ、雄大なる芙蓉峰ふようほう麗姿れいしが、きょうはことに壮美そうび極致きょくちにえがきだされた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
内匠頭の死後から今日迄、およそ二十一ヵ月——その間にこの人のおもてからは、あらゆる希望が消えていた。水々しかったあの頃の麗姿れいしから思うと、頬や肩の肉さえ傷々いたいたしいほどぎとられていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)