鵬斎ほうさい)” の例文
「これこそ正銘の極印附きでございまして、鵬斎ほうさい先生の御門下が京の東寺へつてがあって、それからお手に入りました品でございます」
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
わたくしは唯墨堤の処々に今なお残存している石碑の文字を見る時鵬斎ほうさい米庵べいあんらが書風の支那古今の名家に比して遜色そんしょくなきが如くなるに反して
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
止むを得ず戸田侯の徒士かちとなったり旗本邸を廻り歩いたり、突然医家を志し幕府の典医山本宗英やまもとそうえい薬籠やくろう持ちとなって見たり、そうかと思うと儒者を志願し亀田鵬斎ほうさいの門をくぐったり
戯作者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
コバルトと赤と薄黄うすきの三しよくで濃厚な中に沈静なおもむきを出した「菊と薔薇ばら」が最も気に入つた。其間そのまに属した小さな控室に一鵬斎ほうさいの美人絵が薄あかりてらされて二枚かゝつて居るのも好い取合とりあはせである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)