鵝鳥がちょう)” の例文
彼は髪を乱して腰に垂れ、麻の帯をしめてみのを着て、手に大きい袋を持っていた。袋のなかにはたくさんの鵝鳥がちょうや鴨の鳴き声がきこえた。
屋根で鵝鳥がちょうが鳴く時は、波にさらわれるのであろうと思い、板戸に馬の影がさせば、修羅道にちるか、と驚きながらも
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「まずえてみろ。ブウと鳴くようならお前は豚じゃ。ギャアと鳴くようなら鵝鳥がちょうじゃ」と。他の賢者はこう教えた。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
と、一方のすだれを排して、客間の鵝項椅がこうい鵝鳥がちょうの首の付いた椅子いす)へ呉用をしょうじ、そして、いんぎんに訊ね出した。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ええ顔を洗うたんびに鵝鳥がちょうめ殺されるような声を出す人でござんす」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
屋根で、鵝鳥がちょうが鳴いた事さえあると聞く。家ごと霞川の底に沈んだのでなかろうか。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)