鯱張しゃちこば)” の例文
お召しによって控えましたるは本八丁堀屋根屋新道隠密まわり同心税所邦之助、まだお眼通りにもならない前から、このとおり真赫まっか鯱張しゃちこばってござる。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
血が通わなくなっても、脳味噌がつぶれても、肩が飛んでも身体からだが棒のように鯱張しゃちこばっても上がる事は出来ん。二竜山にりゅうざんから打出した砲煙が散じ尽した時に上がれぬばかりではない。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
部屋の中には十二三人のコルシカ人が腕組みをして円陣を作り、その中央には、荒削りの板で作ったひつぎがあって、柩の中には馬のような長い顔をした死人が、口をあいて鯱張しゃちこばっていた。