鮎並あいなめ)” の例文
沙魚はぜ鮎並あいなめを買って、それで酒を飲んだ。うまかった。沙魚は丁度ちょうど懐卵期で、卵もぼ熟しかかっていたが、それでもうまかった。晩に高梨を訪ねた。
素人しろうとながらに、近海物と、そうでない魚とを見分けることの出来るお三輪は、今おかへ揚ったばかりのような黒く濃い斑紋とらふのある鮎並あいなめ、口の大きくうろここまかすずきなぞをながめるさえめずらしく思った。
食堂 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)