魯西亜ロシヤ)” の例文
旧字:魯西亞
一月ばかり過ぎて、ある日伯は突然われに向かいて、「余はあす、魯西亜ロシヤに向かいて出発すべし。したがいてべきか」と問う。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
第三十四 カビヤサンドイッチ このカビヤと申すのは丁鮫ちょうざめの子を鑵詰にしたのが上等ですがそれは滅多めったにありませんで大概たいがい魯西亜ロシヤ産のますの子を使います。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
続いて魯西亜ロシヤのパン売り。其の売声うりごゑを珍しさうに真似する子供の叫びが此方こなたから彼方かなたへと移つて行くので、パン売りは横町を遠くへと曲つて行つた事が能くわかる。
花より雨に (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ういふ拍子か、ふと、魯西亜ロシヤの小説家イ、エス、ツルゲネーフの作品に話が移つて、ルウヂンの末路や、バザロフの性格などに、いろ/\興味の多い批評が出た事があつたが
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
きてみれば待遇ことにめでたく、魯西亜ロシヤ行の労を問い慰めてのち、われとともにひんがしにかえる心なきか、君が学問こそわが測り知るところならね、語学のみにて世の用には足りなん
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
この日は翻訳のしろに、旅費さえ添えて賜りしを持て帰りて、翻訳の代をばエリスに預けつ。これにて魯西亜ロシヤより帰りんまでのついえをば支えつべし。彼は医者に見せしに常ならぬ身なりという。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)