魂祭たままつ)” の例文
「又もあらじ魂祭たままつるてふ折に逢ひて父兄の仇討あたうちしたぐひは」さいわいに太田七左衛門が死んでから十二年程立っているので、もうパロヂイを作って屋代を揶揄からかうものもなかった。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
この句を見て思い出すのは、太祇の「魂祭たままつる料理帳あり筆のあと」である。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
魂祭たままつり過ぎて幾日、まだ盆提燈のかげ薄淋しき頃、新開の町を出し棺二つあり、一つはかごにて一つはさし擔ぎにて、駕は菊の井の隱居處よりしのびやかに出ぬ、大路に見る人のひそめくを聞けば
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
魂祭たままつり過ぎて幾日いくじつ、まだ盆提燈ぼんぢようちんのかげ薄淋しき頃、新開の町を出し棺二つあり、一つはかごにて一つはさしかつぎにて、駕は菊の井の隠居処よりしのびやかに出ぬ、大路に見る人のひそめくを聞けば
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)