鬱念うつねん)” の例文
また近郷にわたって、げきを飛ばせば、おそらく今の時勢に、鬱念うつねんを感じている者もすくなくはありませんから、きっと、三十人や四十人の兵はすぐできるかと思います
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たしかに感じられた手応え、存分なえぐりをよりながら、一角もまたおもむろに槍を戻した。そして、槍の尖端からポト——と糸をいた一滴の粘液ねんえきに、年来の鬱念うつねんを一時に晴らした心地。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それを今、外から聞いて来た主税が、いかって父にその鬱念うつねんを吐こうとすると
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)