高燈籠たかとうろう)” の例文
(いいえ、何の、どこか松のこずえに消え残りました、さみしい高燈籠たかとうろうのように見えますよ。里のお墓には、お隣りもお向うもありますけれど、ここには私唯一人ひとりきり。)
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これは単に人間の訪問客の案内だけでなく、正月もちの夕にまず訪い来るもの、すなわち精霊しょうりょうと家々の神の道しるべであったこと、あたかも盆の高燈籠たかとうろうと目的が一つであると思う。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
首尾の松の釣船つりぶね涼しく椎木屋敷しいのきやしき夕蝉ゆうせみ(中巻第五図)に秋は早くも立初たちそめ、榧寺かやでら高燈籠たかとうろうを望む御馬屋河岸おんまやがし渡船とせん(中巻第六図)には托鉢たくはつの僧二人を真中まんなかにして桃太郎のやうなる着物着たる猿廻さるまわ
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
すなわち高燈籠たかとうろうと燈籠流しとが、広く全国に亙った方式であったことは、これが中世の都人士の思いつきに始まったものでなく、至って古くからの必然的要素なりしことを感ぜしめる。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
六〇 高燈籠たかとうろう
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)