饗応ふるま)” の例文
旧字:饗應
かういつた風で、いつも偽物ぎぶつに箱書をしたり、薄茶でも一服饗応ふるまはれると、出先で直ぐ席画をいたりするので、家族連の心配は一とほりでない。
そこにはお茶の支度したくも出来ていて、サンドウィッチやすしや菓子が饗応ふるまわれた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
宴会といふのはマシウス教授が主人役で、客を饗応ふるまつたといふ意味ではない。大学教授は米国でも日本と同じやうにさうさう御馳走をしさうにない。
年越し蕎麦そばを父と妹に饗応ふるまひながら、晴代は上方言葉かみがたことばで自分をわらつた。
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「へえ、そんなにお茶が好きなのかい。」と伝右衛門は感心したやうに首をつた。「そんなだつたらうちへ来れば浴びる程お茶を饗応ふるまつてやるのに。」
秋も丁度半ばで、田舎家の軒に柿の実があかく色づくやうになつた。——柿といへば、例の上野寛永寺の開山かいさん天海僧正が、ある時将軍家光の御前へ出た時、柿の実を饗応ふるまはれた事があつた。