饅頭笠まんぢゆうがさ)” の例文
この娘が手甲脚絆きやはん負摺おひづるを背負つて、饅頭笠まんぢゆうがさに顏を隱したとしても、その楚々そゝたる姿や青春の美しさが沁み出るやうな御詠歌ごえいかの聲や
不図ふと、その線路のそばで、饅頭笠まんぢゆうがさを冠つて居る例の番人に逢つた。私はからだすくめずに其番小屋の側を通れなかつた。
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
みぞれ蕭々しと/\降りそゝいで居た。橇曳は饅頭笠まんぢゆうがさを冠り、刺子さしこの手袋、盲目縞めくらじまの股引といふ風俗で、一人は梶棒、一人は後押に成つて、互に呼吸を合せながら曳いた。『ホウ、ヨウ』の掛声も起る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)