飼馬かいば)” の例文
そのへんに住んでいる人たちの仕事には、飼馬かいば、耕作、そま、炭焼きなどありますが、わけても飼馬かいばには熱心で、女ですら馬の性質をよく暗記しているほどです。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一体この堤の草は近所の大名屋敷や旗本屋敷で飼馬かいばの料に刈り取ることになっていまして、筋違から和泉橋いずみばしのあたりは市橋壱岐守いきのかみと富田帯刀たてわきの屋敷の者が刈りに来ていたんですが
半七捕物帳:43 柳原堤の女 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一日もはやく叡慮えいりょを安んじ奉らねばならぬ。——時は秋、汝らの飼馬かいばも肥えておろう。各〻、信長がむねを旨として、おくるるな、たごうな、あだに死ぬな。粉骨砕身ふんこつさいしん、大君のいます都まで押し進めよ
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あわ小豆あずき飼馬かいばの料にするとかいうひえなぞの畠が、私達の歩るいて行く岡部おかべの道に連なっていた。花の白い、茎の紅い蕎麦そばの畠なぞも到るところにあった。秋のさかりだ。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)