ざあ)” の例文
荒海の磯端いそばたで、肩を合わせて一息した時、息苦しいほど蒸暑いのに、ざあと風の通る音がして、思わず脊筋も悚然ぞっとした。
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
而してざあと雨の音がした。起きて雨戸を一枚繰つて見たら、最早もう月が出て、沼の水に螢の樣に星が浮いて居た。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
真夜中まよなかにごろ/\と雷が鳴った。雨戸のすきから雷が光った。而してざあと雨の音がした。起きて雨戸を一枚って見たら、最早もう月が出て、沼の水にほたるの様に星が浮いて居た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
一庭いっていの雨脚をすさまじく見せて、ピカリと雷が光る。ざあ、颯と烈しく降り出した。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)