風色ふうしょく)” の例文
だが、この鮮麗な大河の風色ふうしょく熾烈しれつな日光の中では決して不調和ではない。私は南国の大きい水禽みずどりのように碧流へきりゅうを遡るのだ。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
「我らとても、野の風色ふうしょくはゆめにも見たことがなかった。たまにこういう風に吹かれるのも幸せでござる。」
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
辰弥も今は相対あいむか風色ふうしょくに見入りて、心は早やそこにあらず。折しも障子はさっと開きて、中なる人は立ち出でたるがごとし。辰弥の耳は逸早いちはやく聞きつけて振り返りぬ。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
ところが北原はここへ行って帰ってきて、あんな風色ふうしょくの悪いところはないと言う。
石の思い (新字新仮名) / 坂口安吾(著)