風姿すがた)” の例文
行き交う往来の人々など、その娘の際立った風姿すがたに、すき心を刺戟されたと見え、振り返ったり横目で見たりした。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
白張傘しろはりをひらいて雨の中にその女が出てゆかうとする。外は溝板が浮いてるやうな大降りだ。ものどりでないことは、その女の風姿すがたと、自分の家の貧しさでも知れてゐるので
下町娘 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
そして何よりも——眠れる獅子王ししおうの傍に咲く牡丹花ぼたんかのような容顔、春風になぶられてうごく雄獅子のひげに戯むれ遊ぶ、翩翻へんぽんたる胡蝶こちょうのような風姿すがた、彼女たちの世界の、最大な誇りをもって
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)