顔淵がんえん)” の例文
旧字:顏淵
(二) 顔淵がんえん季路きろ侍る。子曰く、なんぞ各なんじの志を言わざる。子路曰く、願わくは(己れの)車馬衣裘いきゅうを、朋友とともにして之をやぶるもうらみなからん。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
子貢しこう子張輩しちょうはいは、顔淵がんえんに対する・師の桁外けたはずれの打込み方に、どうしてもこの感情を禁じ得ないらしいが。)子路は年齢が違い過ぎてもいるし、それに元来そんな事にこだわらぬたちでもあったから。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
抽斎はしばしば地雷復ちらいふく初九爻しょきゅうこうを引いて人を諭した。「不遠復无祗悔とおからずしてかえるくいにいたることなし」の爻である。あやまちを知ってく改むる義で、顔淵がんえんの亜聖たる所以ゆえんここに存するというのである。抽斎はいつもその跡で言い足した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
『論語』全篇中堯舜に触れたものは、右の雍也ようや篇のほかには、泰伯たいはく顔淵がんえん堯曰ぎょうえつの三篇のみであろう。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)