頂板つしいた)” の例文
唯、姫の仰ぎ寝る頂板つしいたに、あゝ水にさし入つた月。そこに以前のまゝに、幾つもかさの畳まつた月輪の形が揺めいて居る。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
帷帳とばりを周らした中は、ほの暗かつた。其でも、山の鬼神もの、野の魍魎ものを避ける為の燈の渦が、ぼうと梁に張り渡した頂板つしいたに揺らめいて居るのが頼もしい気を深めた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
そうしてことごとく、跡形もない夢だった。唯、姫の仰ぎ寝る頂板つしいたに、ああ、水にさし入った月。そこに以前のままに、幾つもかさの畳まった月輪の形が、揺めいて居る。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
帷帳とばりめぐらした中は、ほの暗かった。其でも、山の鬼神もの、野の魍魎ものを避ける為の灯の渦が、ぼうとはりに張り渡した頂板つしいたに揺めいて居るのが、たのもしい気を深めた。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)