靴脱くつぬぎ)” の例文
はっと思うたが及ばない、見れば猪口は一つおどって下の靴脱くつぬぎの石の上に打付ぶつかって、大片おおきいのは三ツ四ツ小片ちいさいのは無数にくだけてしまった。
太郎坊 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と云いながら、つが面取格子めんとりごうしを開けると、一けんの叩きに小さい靴脱くつぬぎがありまして、二枚の障子が立っているから、それを開けて文治が入りました。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
是非連れて行ってやりたいがこう悪寒がして眼がくらんでは電車へ乗るどころか、靴脱くつぬぎへ降りる事も出来ない。ああ気の毒だ気の毒だと思うとなお悪寒がしてなお眼がくらんでくる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)