革具かわぐ)” の例文
革具かわぐの手入れか何かをしていましたが、私を見ると急に立ち上って、何やら意味ありげに眼くばせをしながら外へ引っぱり出しました。
死後の恋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
母とわたくしも同じくこの馬車に乗ったが、東京で鉄道馬車の痩せた馬ばかり見馴れた眼には、革具かわぐの立派な馬がいかにも好い形に見えた。
十九の秋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この小さな天皇には、ご誕生たんじょうのときに、ちょうど、ともといってゆみるときに左のひじにつける革具かわぐのとおりの形をしたお盛肉もりにくが、おうでに盛りあがっておりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
手だけは、もう、馬車の革具かわぐのほうへ伸ばし、別れの言葉もちゃんと用意している。彼は、まったく悲しいのである。だからこそ、うたいたくもない歌を、ふんふん唱っている。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)