面付かおつき)” の例文
お君は馬上で聞いて、このお嬢様と呼ばれる人が、面付かおつきの怖ろしいのに似もやらず、情け深い人のように思われたのでホッと一安心です。
都合よくエライ親父かエライ亭主に取当ったのを自慢にして、ほかの女とは身分が違うような面付かおつきをしている……その根性がイヤなんだ。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
神尾の面付かおつきの緊張しているのと、その発言の甲走っていることによって察すれば、何かこの男が緊急動議を提出するものらしい。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
能登守からこう言われて主膳は、さもこそという面付かおつきで、膝の上にさいぜんから後生大事に保管していた焼け残りの提灯を取り上げました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そうなると、四百の銭見世や二朱の小見世は金助の眼中になくなって、その面付かおつきもいくらか緊張してきました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それは大した勢力はなかったけれど一部のうちには、なかなか熱心な面付かおつきをしている者がないではありません。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こいつが取ったろうと思われるような面付かおつきに見えるものは一人もありませんでした。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
面付かおつきなどは、いかにまずかろうとも、男でさえあればたんのうしますよという意味にも聞え、もう一つはなにそのくらいの傷は、あなたの男ぶりの全体には少しもさわりにはなりませんよ
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
わたしの目には今でもありありとそのお面付かおつきが残っているのでございます、眼からも鼻からも口からも、血が滝のように——血のくだが破裂して、それからみんな吹き出したものでしょうよ
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
暗いところだからお互いに面付かおつきがわかるんじゃなし、わたしの方では、お前さんの小柄なのと、歩きつきのお上手なのに覚えがあるんだけれども、お前さんの方ではわたしがわかるまいと思って
主膳も、それを聞いて存外驚かず、大方そんなことだろうという面付かおつき
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
不愛想ぶあいそうきわまる面付かおつきをしながら