陸地くがじ)” の例文
おつつがなく帝を陸地くがじへお上げするまでは、岩松の党が、夜見ヶ浜から美保ヶ関の御前島へかけて幾十そうも船手ふなでを潜ませておりまする。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ああ、この痛々しい足どり——だが、今となっては誰をうらもうようもあるまい。十種香の謙信でさえが、「塩尻までは陸地くがじ切所せっしょ、油断して不覚を取るな」
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
大空くまなく晴れ都の空は煤煙ばいえんたなびき、沖には真帆まほ片帆かたほ白く、房総の陸地くがじあざやかに見ゆ、す日影、そよぐ潮風、げに春ゆきて夏来たりぬ、楽しかるべき夏来たりぬ
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
陸地くがじを辿って行くことにしよう
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)