旧字:阿部豐後守
そこで、たつくち評定所に、対策の大評定がひらかれました。列席したのは、老中松平伊豆守まつだいらいずのかみ阿部豊後守あべぶんごのかみをはじめ若年寄りから町奉行神尾備前守かみおびぜんのかみにいたる面々。
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
また、その日のお客、九条家の諸太夫や、閣老の阿部豊後守あべぶんごのかみ中山遠江守なかやまとおとうみのかみ、ほか親族方も、別室の饗応に立って、あとにはわずかの家臣だけしか見えなかった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
島原一揆いっきのとき賊将天草あまくさ四郎時貞ときさだを討ち取って大功を立てた忠利の身の上を気づかい、三月二十日には松平伊豆守まつだいらいずのかみ阿部豊後守あべぶんごのかみ阿部対馬守あべつしまのかみの連名の沙汰書さたしょを作らせ、針医以策いさくというものを
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
柳営りゅうえいのみでなく市井のうちでもよく聞くから、専ら評判でございましたが、ほどなく阿部豊後守あべぶんごのかみが実相をただされて、さる事実なしと、明らかにされたため、いつか、うわさも止み
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
慶安けいあんの変に毒薬係を勤めた平見某の弟同苗兵三郎どうみょうひょうざぶろうとその妹お秋、由井正雪、丸橋忠弥その他一党の遺志を継いで老中松平伊豆守いずのかみ阿部豊後守あべぶんごのかみをはじめ、一味の者につらかりし人達へ怨みをむく
いつか柳沢吉保やなぎさわよしやすが、老中列座のなかでまことしやかにいいふらしたのを、阿部豊後守あべぶんごのかみがつよく否定したとて、両者の間に、あわや日頃の感情まで爆発しかけた事件などもあって、そのうわさは
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)