さまた)” の例文
然るにわたくしはかつて昌林院に至りし日雨にさまたげられて墓にまうでなかつた。わたくしは平八郎さんが來た時、これに告ぐるに往訪に意あることを以てした。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
さて広島に帰つた上は、山陽は再び廉塾に託せられるであらう。しかし茶山は既に山陽に倦んでゐて、澹父をして杏坪をさまたげしめむと欲するのだと云ふのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
しかし事にさまたげられて果さずに岡山に帰つた。そのうち比較的に身分が好いので、少属せうさくわんに採用せられた。それから当路者と交際して、やう/\外国の事情を聞いた。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
しかしいつも藩主の反感にさまたげられて事が行われなかった。そこで伊沢兄弟と抽斎とは先ず茝庭の同情にうったえて幕府の用を勤めさせ、それを規模にして阿部家を説きうごかそうと決心した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)