閑文字かんもじ)” の例文
じぶんが夕刊の閑文字かんもじとして連載している店頭みせさきのぞ記と云うような記事の中に、そこのことを書いてやることにして、写真機を販売している店の番頭から弍拾円の小遣をもらったうえに
文妖伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
急ぐ用事でもないが、色々話しがあるから、この手紙が着いたら来てくれろと書いて、あとには京都の花がまだ早かったの、急行列車が一杯で窮屈だったなどという閑文字かんもじが数行つらねてある。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もしこの事がなかったなら、わたくしは今日のように、老に至るまで閑文字かんもじもてあそぶが如き遊惰ゆうだの身とはならず、一家の主人あるじともなり親ともなって、人間並の一生涯を送ることができたのかも知れない。
十六、七のころ (新字新仮名) / 永井荷風(著)