開陳かいちん)” の例文
寒月君は二十世紀の青年だけあって、おおいに当世流の考を開陳かいちんしておいて、敷島しきしまの煙をふうーと迷亭先生の顔の方へ吹き付けた。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
申しあげることはできかねます。委細は、よろず見分の上、とどこおりなく開陳かいちんいたします。なにとぞ、それまでは
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
のこりなく開陳かいちんするというのは、極めて自然の事で、少しもあやしむに及ばぬはずであるが、世の中は、おかしなもので、自己の知っている事の十分の一以上を発表すると
佳日 (新字新仮名) / 太宰治(著)
吾輩は叙述の順序として、不時の珍客なる泥棒陰士その人をこの際諸君に御紹介するの栄誉を有するわけであるが、その前ちょっと卑見を開陳かいちんしてご高慮をわずらわしたい事がある。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「これはしたり……これでもまだおわかりになりませんか。……これは少々意外ですな、小竜が開陳かいちんしたのはなるほどただの話だが、たったひとつ、動きのとれない証拠がある」
顎十郎捕物帳:06 三人目 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)