鑄掛屋いかけや)” の例文
新字:鋳掛屋
「近頃、あの家の者か、出入の者で、鍵をこしらへさせた者はないだらうか、山の手一圓の鍛冶屋かぢや鑄掛屋いかけやを、ごく内證で調べて貰ひたいんだが——」
五人の中で悧口りこうな信太郎は、隙を見て土藏を脱出ぬけだしましたが、村右衞門におどかされた言葉が恐ろしくて祕密をもらす間もないうち、鑄掛屋いかけやの權次にさそひ出され
眞つ先にこたへてくれたのは、一間半ばかりの路地をへだてて筋向うに住んでゐる、鑄掛屋いかけやの岩吉でした。
「大丈夫、其邊に拔け目のある八五郎ぢやねえ。ちやんと糸目をつけて飛ばしてありますよ。小僧は町内の鑄掛屋いかけやの伜巳之松みのまつ、取つて十三だが、智慧の方は六つか七つだ」
金五郎の向う側は、鑄掛屋いかけやの岩吉の家でした。行つて見ると、これはすつかりおびえて了つて、昨日から稼業も休み、何をするでもなく、唯ワクワクと暮してゐる樣子です。
翌る日の晝頃、二たときばかり留守にしたお照は、宇太八に逢つて、あの手紙を書いた樣子だ。鑄掛屋いかけやの小僧に小遣こづかひをやつて訊いて見ると、手紙の頼み主は、どうも宇太八らしい。
頼むのに、相手が鑄掛屋いかけやの小僧だにしても、四文錢三枚といふ法はあるまい。——外ならぬ錢形の平次へ果し状を附けるんだ、二分や一兩とはずまない迄も、二朱や一分はきつと出す
「それから、もう一つ、あの藤助と言ふ野郎は、下谷二長町の鑄掛屋いかけやの伜ですよ」
「空地で遊んでゐたのを、多勢の人が見て居ましたよ。もつとも一番後で五人の子供が空地の隅つこ一とかたまりになつて話してゐるのを見たのは、鑄掛屋いかけやの權次といふ、評判のよくない男で」
伽羅や沈香は、こちとらの家にある品ぢやない——ところで、鑄掛屋いかけやの權次は空地のどの邊に店を張つて仕事をして居るんだ。大體場所がきまつて居るだらう、炭の斷片かけらか、鐵屑かなくづがある筈だ。
次は田町の鑄掛屋いかけやの伜藤吉、これは十二になつて、たくましい子でしたが、夕方使に出た歸り、近道をして濱で曲者におそはれ、持物も着物も滅茶々々めちや/\に千切つて捨てゝ、それつ切り姿を見せません。
お六婆アの家と寺の枳殼垣からたちがきの狹い間を通つてグルリと廻らなきやならないが、枳殼垣の下は雪解けで、人間の足跡といふのは、今朝お美乃に呼ばれて、鑄掛屋いかけやの岩吉があわてて通つたのがあるだけ