鍵束かぎたば)” の例文
やがて無口なおとなしい爺やが鍵束かぎたばをじゃらつかせながら帰って行き、不二男さんだけが私達の傍に寄って来るのを見ると
朴の咲く頃 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
もしひじかけ椅子いすとテーブルのそばに立っていなかったら、倒れたにちがいない。ワーリャはバンドから鍵束かぎたばをはずし、それを客間中央の床へ投げつけて退場。
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
老人は燭台をおくと、またポケットから鍵束かぎたばをとり出して、その黒い長い箱の錠前じょうまえをはずした。そして、燭台をかざしながら、そのふたをソロソロとひらいて行った。
悪霊物語 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「でも、池田屋の主人の鍵束かぎたばから、一つの鍵を選り出して、寸法を取つたのはどういふわけで——」
脱出方法のことや、大尉が、無造作むぞうさにポケットになげこんだ指揮塔の鍵束かぎたばのことなどは、ちゃんとしらべてあったのだが、それにしても、こううまくいくとは思いがけなかった。
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
鍵束かぎたばをより分けて、音たかく古風な本棚をあける)ほら、これ。
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
鍵束かぎたばを持つて出ると、顏を隱した人が庭に待つて居ました」
ワーリャ登場、バンドに鍵束かぎたばをさげている。
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)