鍋町なべちょう)” の例文
一空さまが、通新石町とおりしんこくちょうから馬鞍横町ばくらよこちょうへ折れて、小柳町こやなぎちょう鍋町なべちょう東横丁ひがしよこちょうと過ぎて不動新道へはいると、和泉屋の総本店はすぐ眼についた。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
鍋町なべちょう風月ふうげつの二階に、すでにそのころから喫茶室きっさしつがあって、片すみには古色蒼然そうぜんたるボコボコのピアノが一台すえてあった。
銀座アルプス (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
北町奉行所のお手先、神田鍋町なべちょうの御用聞、神田屋松五郎。まるで蚊とんぼのように痩せているので、ひょろ松ともいう。
顎十郎捕物帳:18 永代経 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
場所は神田の鍋町なべちょうであった。
鍋町なべちょう源助店げんすけだなで」
呉服橋北町奉行所ごふくばしきたまちぶぎょうしょ曲淵甲斐守まがりぶちかいのかみのお手先、土州屋伝兵衛としゅうやでんべえ。神田鍋町なべちょうの氏子総代で麻上下に花笠。旦那のように胸を張って二十七番の山車に引き添っていた。
出尻伝兵衛でっちりでんべえ、またの名を「チャリがたき」の伝兵衛ともいう、神田鍋町なべちょうの御用聞。
平賀源内捕物帳:萩寺の女 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)