“鉄唖鈴”の読み方と例文
読み方割合
てつあれい100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
香具師やしの力持ちの夫婦は肥った運動服のかみさんを先に立てゝ、のそ/\キャフェの軒の下に避難しに行く。その後に残した道のはたの大きな鉄唖鈴てつあれいを子供達が靴で蹴っている。
巴里祭 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
門内の杉の木立の中に、紺飛白こんがすり浴衣ゆかたを著た壮漢が鉄唖鈴てつあれいを振っていて、人の来たのを顧みだにしない。本堂の東側から北裏へ掛けて並び立っている墓石を一つ一つ見て歩いた。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
鑵の凹みは、Yが特に、毎朝振り慣れた鉄唖鈴てつあれいで以て、左りぎっちょの逞しい腕に力をこめて、Kの口調で云うと、「えゝ憎き奴め!」とばかり、殴りつけて寄越したのだそうであった。
子をつれて (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)