重複ちょうふく)” の例文
前回記する処の崖といささか重複ちょうふくする嫌いがあるが、市中しちゅうの坂について少しく述べたい。坂は即ち平地へいちに生じた波瀾である。
(修学第一期中に列ねたる条項は思ひつくままに記したるを以て、前後錯綜さくそう重複ちょうふくあるを免れず、読者請ふこれを諒せよ)
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
したがってややともすると主観的の句が重複ちょうふくして、ある時は読者に不愉快な感じを与えはせぬかと思うところもあるが右の次第だから仕方がない。(三十七年十二月二十日)
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
器械的な自然界の現象のうち、もっとも単調な重複ちょうふくいとわざるものには、すぐこの型を応用して実生活の便宜を計る事が出来るかも知れない。科学者の研究が未来に反射するというのはこのためである。
イズムの功過 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)