酒癖さけくせ)” の例文
牧野は始終愉快そうに、ちびちびさかずきめていた。そうして何か冗談じょうだんを云っては、お蓮の顔をのぞきこむと、突然大声に笑い出すのが、この男の酒癖さけくせの一つだった。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
本郷丸山の本妙寺ほんみょうじ長屋へ浪人していました処、わたくしの兄澤田右衞門が物堅い気質で、左様な酒癖さけくせあしき者に連添うているよりは、離縁を取って国へ帰れとおして迫られ、兄の云うに是非もなく
のみならず酒癖さけくせの悪い師匠は、時々お宗さんをつかまへては小言こごと以上の小言を言つたりした。
素描三題 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)