酒瓶さかびん)” の例文
無蓋車を降りて、車掌に暇乞いとまごひして、きよろ/\と見廻して、それから向ふの酒瓶さかびんの絵看板の出てゐる見世みせの方へ行つた。もとより酒を飲みにぢやない。
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
アルカージナ、ポリーナ、つづいてヤーコフは酒瓶さかびん(訳注 複数)をもち、それにマーシャ、あとからシャムラーエフ、トリゴーリン、それぞれ登場。
法網ほうもうをくぐるために、酒瓶さかびんの如きも普通のウイスキーの壜に入れ、ただレッテルの上に、玄人くろうとでなければ判らない目印めじるしを入れてある。こうした妖酒ようしゅのあることは君にも判るだろう
地獄街道 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そういって、本棚の古本のあいだに入れてあった、変な形の酒瓶さかびんとグラスを二つ持って来て、酒をついだ。蘭堂がグラスを取って、いで見ると、なるほどすばらしいコニャックだ。
悪霊物語 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
私は、神も気づかぬ素早さで、呑みほした酒瓶さかびんの数を勘定するのが上手であった。
逆行 (新字新仮名) / 太宰治(著)
吉は流しの暗い棚の上に光っている硝子ガラス酒瓶さかびんが眼につくと、庭へ降りていった。そして瓶の口へ自分の口をつけて、仰向あおむいて立っていると、間もなくひと流れの酒のしずくが舌の上でひろがった。
笑われた子 (新字新仮名) / 横光利一(著)
大きなテーブルがならんでおり、ぜいたくな椅子いすがならんでいました。テーブルの上には、酒瓶さかびんやコップやトランプの札などがちらかっていて、壁には銃や剣などの武器がかかっていました。
街の少年 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
酒瓶さかびんのような画が出ていたが
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)