酒呑さけの)” の例文
酒呑さけのみを十把じっぱ一とからげにいやがっていた閑子をミネは思い出し、野村がそんな点でも窮屈だったのではないかと思ったりした。
妻の座 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
長い間名主をしてゐたお祖父さんは、酒呑さけのみのれふしがおかみへ納める税金を持つて来ないときに、かういふ顔でねめつけることを栄蔵は知つてゐる。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
おとこは、酒呑さけのみで、あんころもちはほしくなかったが、うしが、たいそうそれをきだということをいていましたから、やがて、そのうちまえへさしかかると
ある男と牛の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
性質たちの良くない酒呑さけのみ同志が喧嘩をはじめたりして、柳吉はハラハラしたが、蝶子は昔とった杵柄きねづかで、そんな客をうまくさばくのに別に秋波をつかったりする必要もなかった。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「そうかなあ、酒呑さけのみは気をつけることだ。そのくせ俺は湯が好きでね」
深川女房 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)