鄧芝とうし)” の例文
「丞相のごめいです。過日、鄧芝とうしから勝ちいくさのご報告があるや否や、危うしとばかり、すぐ吾々に救急の命を発しられましたので」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『三国志』に名高い呉に使して君命をはずかしめなんだ蜀漢の鄧芝とうしは、才文武を兼ねた偉物だったが、黒猿子を抱いて樹上にあるをを引いて射て母に中てしにその子ためにを抜き
副将鄧芝とうしも、何処いずこからか現われてきて、それに加わり、一時散り散りになった蜀兵も、この好転に、ここかしこからこだまをあげて集合してきた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鄧芝とうしはこう云い切るや否、やにわに座から走り出して、階欄の上から油の煮え立っている大鼎おおかなえの中へ躍り込もうとした。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鄧芝とうしを使いとして、敵の伏勢をかたくいましめておいたのに、わが命をかろんじて、大兵を損じたるは何事か」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして次の日、帰国したが、そのときまた、蜀からふたたび回礼使として、鄧芝とうしが同行した。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
呉懿ごい費観ひかん彭義ほうぎ卓膺たくよう、費詩、李厳、呉蘭、雷同、張翼、李恢りかい呂義りょぎ霍峻かくしゅん鄧芝とうし、孟達、楊洪あたりの人々でも、それぞれ有能な人材であり、まさに多士済々の盛観であった。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここまで孫権が切り出してくると、鄧芝とうしはわがものだと胸のうちで確信をもった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)