連坐まきぞえ)” の例文
たとい自分が手をおろして殺したのでないにもせよ、おみよの死について何かの連坐まきぞえを受けるのが恐ろしかった。大久保の屋敷の祟りもおそろしかった。
半七捕物帳:08 帯取りの池 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
とんだ連坐まきぞえを受けてはならないと、前後のかんがえも無しにあの稲荷のほこらのなかに隠れましたが、もしその火が大きくなってこっちへ焼けて来たらどうしようかと
半七捕物帳:17 三河万歳 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
すねに疵もつ彼はなんだか急に怖くなって、とんだ連坐まきぞえを食ってはならないと怱々そうそうに逃げて帰った。
半七捕物帳:38 人形使い (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
見ましたれば、思い置くこともござりませぬ。しかし又なまじいにめぐりあった為に、なんにも知らぬ我が子に連坐まきぞえの咎めが掛かろうかと思うと、それが悲しゅうござります
心中浪華の春雨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
軍将の陳守規ちんしゅきは何かの連坐まきぞえで信州へ流されて、その官舎に寓居することになりました。この官舎は昔から凶宅と呼ばれていましたが、陳が来ると直ぐに鬼物きぶつがあらわれました。
それをみだりに留めて置いては、なにかの連坐まきぞえを受けないとも限らない。さりとて追い出すのも気の毒であると思うならば、おまえは今夜この寺に泊まって家へ戻らぬ方がよい。
何ゆえにそんな虫を祭るかというに、幾代か前の先祖が何かの連坐まきぞえで獄屋につながれた。身におぼえの無い罪ではあるが、拷問の責め苦に堪えかねて、遂に服罪することになったのである。
そのうちに江戸表から洩れて来る種々の情報によると、どうでも里見家に連坐まきぞえの祟りなしでは済みそうもないというので、一家中の不安はいよいよ大きくなった。庄兵衛は洲先神社へ夜詣りを始めた。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)