通路みち)” の例文
僅かに人間一人通れるほどの通路みちで、一方の口は群衆六百の眼玉の光る庭に開き、そして他の一方の口は、内廊下の——其處には藤屋の番頭や手代や
やがて、母屋と離座敷はなれとの間の通路みちから、この旅籠はたご、武蔵屋の構外そとへ出ようとした。そうしてまたそこで、地上へ、血溜りのような物を——胴抜きの緋の長襦袢を産み落とした。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
崩壊された見付の跡らしい古い石垣に添うて、ほりの土手の上に登ると、芝草の間に長く続いた小径こみち見出みいだされる。その小径は捨吉の好きな通路みちであった。そこには楽しい松の樹蔭が多かった。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
泥んこの通路みちがやけに癪に触る
横顔 (新字新仮名) / 上田進(著)