這個しゃこ)” の例文
思うに這個しゃこの消息は、私がここに今さららしく書きつづるまでもなく、早くより警眼けいがんなる社会観察者の看取し得たるところである。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
あまつさえ這個しゃこの怪禽は、月ある町中へつッ立つとひとしく、一振りふって首をのばして、高く蒼空あおぞらを望んでまた一声、けいおう! と叫んだ。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「あるどころか、彼らの暗中飛躍こそ怖るべきで——」と竹屋三位が、這個しゃこの消息通をもって任じながら
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遮莫さもあらばあれ這個しゃこの風流も梅の清楚なるを愛すればのこと、桜の麗にしてけんなるに至ては人これに酔狂すれどもまた即興の句にも及ばず、上野の彼岸桜に始まって、やがて心も向島に幾日の賑いを見せ
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
が、おめえにア這個しゃこの消息、なんのことだかわかるめえ。そこでクドイが説明する。いつも二人がピッタリと、くッついているんだから三畳でいい。四畳半ではすきが出来、風がはいって寒いとよ。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ようやく近ごろ酔眼朦朧もうろうとして始めて這個しゃこの消息を瞥見べっけんし得たるに似るがゆえに、すなわちこの物語に筆を執りいささか所懐の一端を伸ぶ。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
枝も木の葉もざわざわと鳴って燃上ったので、頭も足も猟師もろとも一縮み、生命ばかりはお助け、と心底から涙……が可笑おかしい、櫔面屋とちめんや喜多利屋きたりやと、這個しゃこ二人の呑気ものが
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
真にわが国家の前途を憂うる者は、戦時におけるドイツ這個しゃこの経営について大いに学ぶべし。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)