轢殺ひきころ)” の例文
汽車が頻りに人を轢殺ひきころすからといつて泣く程の是公氏でもないと思つた。実際そんな事で泣いてゐては、幾ら涙があつても足りる訳はなかつた。
汽車が、その真似をする古狸を、線路で轢殺ひきころしたという話が僻地にはいくらもある。文化が妖怪を減ずるのである。
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一寸断って置きますが、あの巨大な機関車が、夜中に人間の一匹や二匹を轢殺ひきころしたかって、乗務員が知らン顔をしている様な事はいくらもあるんですよ。
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
幼かりし日の事を語りて、地下の石窟いはむろに入りて路を失ひし話よりジエンツアノの花祭に老侯の馬車の我母を轢殺ひきころせし話に至りしときは、姫の驚一方ひとかたならざりき。
すると、どうした訳か、突然けたたましい警笛が鳴ったかと思うと、非常制動機の力で、列車は出し抜けに止められたが、少しの違いで車が止まる前に、一人の婦人が轢殺ひきころされてしまったんだ。
一枚の切符 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
彼は、轢殺ひきころされる危険を感じて、よろめきながら、舗道のはしによった。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
轢殺ひきころされた豚は白豚で、トンネルの洞門みたいな猪鼻が……どうです、主働輪の曲柄クランクにチョコナンと引ッ掛って、機関車が走る度毎に風車かざぐるまの様にクルリクルリと廻ってるじゃあ有りませんか。
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)