身窄みすぼ)” の例文
水銀のげちらした鏡一つと、壊れた脚を麻縄あさなわでくるくるといた木の椅子いすが一つあるっきりの身窄みすぼらしい理髪屋であった。
それにつけても、これがわたしの精一つぱいのおつくりなんだと思ふと、妙に身窄みすぼらしく自分の肩のあたりが眺められる。
散歩 (新字旧仮名) / 水野仙子(著)
受付係の巡査がそう云って、そこへれて来たのは、身窄みすぼらしい洋服の、蒼白い顔の青年であった。
「いいえ別に」と私は答えたが、ふと私はこの身窄みすぼらしい服装の客を思い出して、客に言葉をかけた。
焼和尚は、女を好きなばかりでなく、絵画や彫刻や陶器類が好きで、彫り物師とか画家とかいえば、どんな身窄みすぼらしい姿をした、乞食のような漂泊さすらいの者でも、きっと、幾日でも泊めてやったものだ。
再度生老人 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
けれど何とまあ身窄みすぼらしくなった父であったろう。彼はもうゴムまりを買ってくれた父ではなかった。