躍出おどりだ)” の例文
殊に小説の梗概こうがいでも語らせると、多少の身振みぶり声色こわいろを交えて人物を眼前めのまえ躍出おどりださせるほど頗る巧みを究めた。二葉亭が人を心服さしたのは半ばこの巧妙なる座談の力があった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
さあそうなると、このたびは武力を有するものが一番躍出おどりだしてこれを鎮定するということになって、奈破翁ナポレオンがついに一手にこれをぶるということになったのである。仏国にして既にしかりだ。
という頓狂とんきょな声がして、澄夫の背後の廊下から伝六郎が躍出おどりだして来た。
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)