蹤跡しょうせき)” の例文
しかれども巻三百四、鄭和伝ていかでんには、成祖せいそ恵帝けいていの海外にげたるを疑い、これ蹤跡しょうせきせんと欲し、且つ兵を異域に輝かし、中国の富強を示さんことを欲すとしるせり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
しかるにこの鳥獏を蹤跡しょうせきする途中ちょっと立ち留って樹をつつくと虫が出る、それを食うと素敵にうまい。
すべての所有相は虚妄と見るよりほかはない。しかしながら読み出すところの歌は真言である。虚空の如き心の上でさまざまの風情をいろどるといえども、そこには更に蹤跡しょうせきというものがない。
しかも、その終わりは大虚により、かざるところなし。なんの蹤跡しょうせきかこれのこすことあらんや。いわんやその人の死して、また託胎せんや。仏氏三世の説、今の果はつとの因なり、今の因は後の果なり。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
しかし蹤跡しょうせきたえて知れなかった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)