路地内ろじうち)” の例文
七兵衛が最初この家へ入った時から見え隠れについて来て、今まで路地内ろじうちや表通りをうろうろしていた一人の紙屑買かみくずかいが、いま七兵衛が出かけると、またそのあとをついて行きます。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
長吉は覚えずあとを追って路地内ろじうち這入はいろうとしたが、同時に一番近くの格子戸が人声と共にいて、細長い弓張提灯ゆみはりぢょうちんを持った男が出て来たので、なんという事なく長吉は気後きおくれのしたばかりか
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しかし幸か不幸かいまだ全く文明化せられざる今日においてはかかる裏長屋の路地内ろじうちには時として巫女いちこ梓弓あずさゆみの歌も聞かれる。清元きよもとも聞かれる。盂蘭盆うらぼん燈籠とうろう果敢はかない迎火むかいびけむりも見られる。