跛者はしゃ)” の例文
直ニ賢兄ノ伝ニ至ルヤ手ノ舞ヒ足ノ蹈ムコト跛者はしゃたちまちニシテ立ツガ如シ。凡ソ人ノ子トナルヤ父母ヲ顕スヲ孝ノ終トス。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
いながら知るべき名所を問わず、おのが生れしその国を天地世界と心得るは、足を備えて歩行せざるが如し。ゆえに地理書を学ばざる者は、跛者はしゃに異ならず。
後に続いたは四十年輩、片眼片耳しかも跛者はしゃ。この上もない醜男ぶおとこで、薬剤車を曳いている。車の形は長方形、箱車で無数の引き出しが箱の左右についている。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
深淵しんえんをも浅いみぞとなし、鉄の格子こうしをも柳の枝の簀子すのことなし、跛者はしゃをも壮者となし、足なえをも鳥となし、愚鈍を本能となし、本能を知力となし、知力を天才となすものであって
跛者はしゃであったとも片足神かたあしがみだったともいう者が稀でないのである。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)