跛者ちんば)” の例文
その爲に武士をてたといふひどい跛者ちんばで、身體も至つて華奢きやしや、町人のやうに腰の低い、縞物などを着た、至つて碎けた人柄です。
跛者ちんばで醜貌の猪十郎、薬草車を引き出した。美童の紅丸後押しをする。車に添って薬草道人、飄々乎ひょうひょうことして歩いて行く。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
斯う思ふのは、彼が年中青い顏をしてゐるヒステリイ性の母に育てられ、生來の跛者ちんばで背が低くて、三十になる今迄嫁にも行かずに針仕事許りしてゐる姉を姉として居る故かも知れぬ。
葉書 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
跛者ちんばの主人の顏と、それをたすける美しいお歌の顏を見ると、三輪の萬七の子分達も、手の下しやうはありません。足萎あしなえと十八娘では、凡そ鼬小僧には縁がありません。
斯う思ふのは、彼が年中青い顔をしてゐるヒステリイ性の母に育てられ、生来うまれつき跛者ちんばで、背が低くて、三十になる今迄嫁にも行かずに針仕事許りしてゐる姉を姉としてゐるせゐかも知れぬ。
葉書 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そこで童子の紅丸も、醜い跛者ちんばの猪十郎も、草を敷いて寝ることにした。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「が、お品さんに見られたら、跛者ちんばやしわん棒や、臆病者の眞似をして居るのは、辛かつたぜ」